done is better than perfect

自分が学んだことや、作成したプログラムの記事を書きます。すべての記載は他に定める場合を除き個人的なものです。

「三体」を読んだ

あるゲームで、「宗教と科学を分けるのは『新奇の予言』である」という台詞がある。科学とは、これまでの経験から帰納的にこの世の法則を導き出すものだ。これまでの「経験上」、物体は上から下に落ちる。日はまた登る。これは昨日もそうだったし、今日もそうだ。きっと明日もそう だろう

この成功体験は、我々の脳裏に深く刻まれている。我々は無意識に、あるいは後天的な学習により、この世にはある種の規則があると 信じている 。だからこそ我々はここまで発展してきた。

ある日突然、その前提が覆されたら?

我々の経験は、ただ単純にたまたまだったとしたら?

「三体」は、その題名にある通り古典力学から問題の題材にされていた三体問題を題材とした中国の作家劉慈欣のSF小説である。この小説はいろいろなところですでに高い評価を受けているが、ここでは割愛する。

中国のSFと聞いて、「なんか共産党のプロパカンダ凄そう・・・」と思う人も多いのではないだろうか。私もその一人だった。なので、何となく敬遠していたのだが、やはり気になって読んでみた。これが面白い。

SF小説というから多少身構えていたが、とても読みやすいエンタメ小説。出だしは文化大革命の凄惨な粛清から始まり、科学者の謎の死、不思議な現象、突然出てくるVRゲームとその奥深さ・・・そのどれもが興味深いし、それらが連鎖的に繋がっていくところが爽快な小説だ。読んだ個人的な感想としてはサスペンスっぽい。どちらかというと、SF小説っぽい科学的な薀蓄は、割と抑えめな印象。

キャラクターの一人である、警察官の史強が私のお気に入りだ。SF小説らしく、様々に知的な登場人物が出てくる中で、史強はどちらかというと粗暴な振る舞いをする。しかし、乱暴ながらも本質をついた意見を言ったり、他の登場人物を鼓舞したりする。

以下は、史強の台詞だ。

「不可思議な出来事にはかならず裏がある」

(中略)

「つまり、科学で説明がつかないように見える出来事の背後には、かならずだれか黒幕がいるってことだ」

これこそが、人を疑うことが仕事である彼の、史強の究極の 法則 である。これを、中国の作家が著したということで穿った見方を見てしまうのは、私だけだろうか。

ネタバレせずに紹介するのは難しい小説だが、単純にエンタメとして面白いので、ぜひ未読の方は読んでほしい。