done is better than perfect

自分が学んだことや、作成したプログラムの記事を書きます。すべての記載は他に定める場合を除き個人的なものです。

「実践版GRIT やり抜く力を手に入れる」を読んだ

今や、人間の集中力の持続時間は金魚以下 (人間は7秒、金魚は8秒)。そんな注意力散漫な現代において、あらゆる成功を叶える究極の資質、「GRIT=やり抜く力」を磨く方法を伝授。

「より高い目標を設定し、その目標に対する情熱的な追求を行うこと」 これこそがGRITであると著者は説く。成功者の真似をするだけでなく、その立ち振る舞いが他者から畏敬の念を集めるくらいであり、最高の人生を送りたいというモチベーションを引き出すものとする。

最高の人生を送るためには、適切な高い目標が必要であり、その目標を実現するためには情熱が必要である。それだけでなく、自制心、謙虚さや忍耐も必要であるが、それらが最終的な幸せをもたらす。

適切な目標設定や、それを実現するための情熱が必要である、という話はとても理解できた。また、それらに加え、忍耐なども必要となってくることは、注意力散漫になりがちな現代社会においては特に重要だろうし、やはり基本的には我慢をどこかでするしかないのだろうな、ということは理解しやすい。それら自体は基本的なことだが、その基本的なことを実践しやすくするよう、様々なワークや豊富な例とともにわかりやすく書かれている点では良書だと感じた。

・・・と、ここまで書いておいてなんだが、はっきり言って、著者の考え方で私には合わない部分も多かった。著者の考え方は結果論が多いし、価値観も独善的だ。(多分、私のような考え方は、著者にとっては「ミレニアル世代」の考え方で、切って捨てるべきものだと思われているのだと思う)

例えば、著者は良いグリットと悪いグリットがあると考える。悪いグリットの種類の中に 「強情グリット」 があり、それは 「長期的な目標に対する強情な追求であり、状況の変化が原因で、ポジティブな結果以上にネガティブな結果を生むもの」 と定義する。その例として、長年の夢であったエベレストに登頂するも下山に失敗し亡くなってしまうシャー・コールファインという女性を紹介している。

シャー・コールファイルが亡くなったのは結果だ。著者は失敗した理由を色々と挙げているが、成功していたらこの例を挙げなかっただけだろう。逆に良いグリッドの例も、それがたまたま成功しただけではないのか?という評価が抜けている。

例えば、ドーピングした選手が悪いグリットとして挙げられている。これも、確かに著者の、というか一般的な価値観としてはネガティブな要素だろう。ただ、競技者本人にとって、それでいいのであればそれは良かったのではなかろうか。ある目標を達成したかどうか、というのはどこまで行っても自己満足の世界だ。

ある目標に対して、その目標がいいか悪いかを論じるのは、やり抜く力がどうとかという話とは別問題なのではなかろうか。程度の問題という話は理解できるが。。なんというか、途中から道徳の時間を受けている気分になった。